超エキサイティングディンギー 49er(フォーティーナイナー)の魅力
2000年シドニーオリンピックからオリンピック種目(男子2人乗りスキフ)に正式に採用され「海のF1」とも言われる、2人乗りのダブルトラピーズ・ディンギー。
陸の上でも走り出しそうになるのを抑えながら、水に浮かべると、そのフルバテンセールに風が入るやいなや、いきなりの加速で体がフネに置いていかれそう!
クローズホールドはメインセールの大きさの割には超細身のカーボンマストがセミオートマチックに働いて風を逃がしてくれるが、やはり慣れないとそのパワーに圧倒され、思わず手に力が入りシートを出せなくてオーバーヒールしてしまう。
これはこういったオーバーパワーの船では体でバランスを…といった今までの基本的なことは通用せず、その間に体でバランスをとり、そしてトップスピードと角度に合わせてトリムしなおすという走らせ方が必要となってくる。
したがって、デッキ上をスルスルと動き回りながら、かつシートをトリムし続けるバランスが要求される。
といっても、こういった大馬力のボートではベアリングウエイが非常に難しい。
強風のときにはどのフネでも感じられる逆ヒールついてないと絶対にベアーできないというのは49erでは”鉄則”なのだ。
最後までトラピーズに乗ったまま、しっかりと逆ヒールをつけて一気にフリーのコースへ。
そしてバウからスピンホイストと同時に張り出すバウスプリット形のスピンポールとマストトップから展開される巨大な非対称スピンが上がれば、その加速感に体のバランスをくずしてしまうほどだ。
こう説明してみると、いかにもパワフルでジャジャ馬的な印象を受けるかもしれないが、その通りなのだ。
誰でもが乗れるボートではないのだが、見ているだけでも、ドキドキするようなボートなのである。
49erFX(フォーティーナイナー・エフエックス)
2016年リオ・オリンピックから女子2人乗りスキフの正式種目となり、男子の49er同様、ハイスピードなボートはセーリング競技の中でもアグレッシブな競技艇として世界的に人気が高く、特にメディアからは「最もエキサイティングなクラス」として定評がある。
ハル、ウイング、フォイルは49erそのままであるが、リグを一回り小さ目のものを使っているので男子よりも軽量な女子でも乗りこなせるサイズとなっている。
しかし25㎡の非対称スピンとダブルトラピーズリグから生まれるそのパワーは強烈だ。
49erはちょっと…とためらうウイークエンドセーラーに是非楽しんでもらいたい艇。